もっと詳しく西陣・町家! もっと詳しく西陣と町家を学んでみよう!
JIA京都の活動 建築と子供たちin KYOTO

(1)西陣というところ
・西陣は、明確に境界が定められた行政区ではなく、京都市北西部の西陣織を営む地域をさします。

・北は北大路、南は丸太町通り、西は西大路通り、東は烏丸通りに囲まれた地域をさすことが多いが、歴史的にエリアは変わっています。西陣中央小学校の学区が中心です。


【西陣エリアマップ】
西陣エリアマップ


(2)西陣について
西陣の名の由来は、応仁の乱で、山名宗全率いる西軍がこの地にを構えたことによります。

・平安京が造営されてから、朝廷の大蔵省の管轄で織部司という織物と染色を司る役所がありました。ここに多くの染織の勝れた職人たちが集められてきました。応仁の乱で、多くの職人集団が京都を離れていきますが、乱が終わると、そうした人々もまた京都に戻ってきました。

・西陣織は、職方と問屋の大店(大規模な商家)からなります。図案工房、撚糸屋(糸を染める前に、織物の風合いにあわせた撚りを施す)、製織などの職方は、仕舞屋(しもたや)に居住し、仲買人の大店は大間口の構えを持つ町家。数棟の蔵を有する商人屋敷もあります。

・また、日常買廻り品の豆腐や、菓子屋、魚屋、風呂屋なども軒を連ねています。


(3)町家について

・民家のうち、城下町などの町や町並みを形成している敷地に建てられたものを総称して町家(屋)と呼びます。

・町家は一様に表通りに面し軒を接して並び建ち、間口が狭く、奥行きが深いのが特徴で、俗に「鰻の寝床」と呼ばれます。

・内部は土間と板敷(たたみ室)から成立ちます。



(4)西陣の町家について
・織物の町で、西陣は職方の家が多くあります。

・西陣織は発達した分業制度によって成立つ産業であり、図案工房、撚糸屋、製織など、さまざまな職種に分けられています。

・西陣の町家は、織屋建が多くあります。織屋建は一つの棟で成立っており、店用の棟と生活空間の棟とに分かれている表屋造とは違います。家の奥に作業場があり、職住一棟型です。





*社家
(社に奉仕して祭祀をつかさどり、その職を世襲した家を社家という)
【社家(上賀茂)】

【社家(上賀茂)】

【表屋造り】
【表屋造り】
【織屋建て】
【織屋建て】

【西陣織 分業工程図】
【西陣織 分業工程図】



(5)町家の外観の種類とその建築年代区分

【1】平屋
【1】平屋
・京町家の要素をもつ平屋建ての建物

【2】中二階(厨子二階)
【2】中二階(厨子二階)
・二階の天井が通常より低い
・二階部分は、物置か、使用人の室として使われてきた
・二階の窓はむしこ窓が一般的
【江戸から明治に引き継がれた京町家の様式で明治後期頃までの建て方】

【3】総二階(本二階)
【3】総二階(本二階)
・二階の天井高さが一階と同程度である
・二階は部屋として使える
・窓は、木枠ガラスが一般的である
・明治後期以降に多く建てられた
・荒めの格子(金属棒や木棒)【昭和初期のもの】
・石貼や人造石研ぎ出し等の腰壁【昭和初期のもの】

【4】仕舞屋(しもたや)
【4】仕舞屋(しもたや)
・住宅専用として建てられた、表に店舗をもたない京町家
・図案工房、撚糸屋、製織などの職方が居住していた
・表の窓の開口部(出格子)などが小さいという特徴がある・出窓付きが多い


【5】大塀造り
【5】大塀造り
・仕舞屋の中でも特に裕福な商人の専用住宅として建てられた
・仕舞屋が発展して、表通りに高い塀をめぐらせ、前を設け、家屋はその後方に建てられる

【6】三階建て
【6】三階建て
・京町家の要素をもつ三階建ての建物
・都心では、狭い敷地を有効に利用できるため普及
・軒数は少ない
【昭和初期から第二次世界大戦まで建てられたもの】

【7】看板建築
【7】看板建築
・京町家を近代的なビルに見えるように、建物の表を全面的に改装したもの
・特に高度経済成長期にこうした改修が施された
・京町家の外観に戻すことは比較的容易である



(6)町家の各部分の名称とそのはたらき
【1】犬矢来(いぬやらい)
【1】犬矢来(いぬやらい)
・建物の外壁又は塀の下部を泥の跳ね返りから守る
・動物の侵入を防ぐ
・竹を曲げて造った囲い


【2】駒寄(こまよせ)
【2】駒寄(こまよせ)
・町家の正面に設けられた柵で、もとは牛馬をつなぎ止めておくためのものであった
・今日では軒下に人が入るのを防ぐためのもの


【3】ばったり床几(ばったりしょうぎ)
【3】ばったり床几(ばったりしょうぎ)
・店の正面に設けられた折り畳み式の縁台で、用いないとき
は吊り上げて脚は台の裏側に収納するように工夫されて
いる
・一昔前、昼間はここに商品を並べて、夜になるとしまっていた。
・揚見世(ナダミセ)とも云った


【4】格子
・光や風を通しながら、視線を遮る役割をもつ
・職業や地域によって異なる形をしている
【a】糸屋格子、織物格子
【a】糸屋格子、織物格子
・糸屋、織物屋、呉服屋などで使われた格子
・織物の色糸を選別しやすくするため、採光に考慮し、上部を明けた親通3本持ち切子格子の構え
・切子の数が多い方が採光率が高い点から、織屋4本切子、糸屋・紐屋3本切子、呉服屋2本切子というふうに、職種に応じている


【b】仕舞屋格子
【b】仕舞屋格子

・仕舞屋でみられる格子
・露地に張り出した出格子は竪子が猿頬のため通りから内
部は見えにくいが、内からの視線は広い

【c】米屋格子
【c】米屋格子

・米屋でみられる格子
・米に色が付かないように考えられている
・重い米俵を扱うのですべてが太い造りとなっている
・色付けせず、木地仕上げとする


【d】酒屋格子
【d】酒屋格子
・酒屋で見られる格子
・酒屋は重い酒樽が格子に当たることがあるため、色付けした太めの格子を使う
・台格子造りの荒格子(米屋格子と同じ)
・格子の割合はすべて同じ
・台格子:造り付の固定格子(建具として取外し出来ない)


【e】炭屋格子
【e】炭屋格子
・炭屋でみられる格子
・炭や薪を扱うため、色付けの格子の構え
・格子竪子のあきを小さくして炭粉の飛散を防ぎ、また内側
に二重に格子戸を入れるなどの工夫がなされている


【5】通り庇
【5】通り庇
・庇の下は誰でも通れる半公共のアーケードであった

【6】鐘馗さん(しょうきさん)
【6】鐘馗さん(しょうきさん)
・通り庇の上、むしこ窓の前に祀られている
・しょうきさんは、唐の玄宗皇帝の夢枕に現れて、疫鬼を退散させたという中国の故事にちなんだ魔除けの神である


【7】虫籠窓(むしこまど)
【7】虫籠窓(むしこまど)
・中二階部の窓の格子を壁土で塗りこめたもの

【8】けむり出し(越屋根ともいう)
【8】けむり出し(越屋根ともいう)
・台所庭に置かれた竈(かまど)の煙を屋外へ出すためのもので、屋根の棟部分に開口部を設けてその上に小さな屋根が作られている

【9】卯建(うだつ)
【9】卯建(うだつ)
・屋根の上に壁を少し高めに持ち上げたもの
・古くは身分を象徴するものであったが、後には防火の機能も備わった




(7)町家の現在の使われ方
・近年、昔からの家業を受け継ぐ所は減ってきて、町家を改装し、ギャラリー、レストラン、カフェにしたり、一般公開しているところもある。

・町家を医院として使っているところでは、土蔵をレントゲン室にするなどの工夫もみられる・

・洋間をしつらえたり、吹き抜け部分の屋根に天窓をつけて明るさを取り込めるようにしたり、さまざまな工夫をしながら町家で暮らしている人々がいる。

・明治期、ガラスが使われるようになってからは、通り庭上部(火袋という)に天窓付が多い。


町家を改装したレストラン
町家を改装したアンティークショップ。


町家を改装したショップ







(8)地蔵盆
・京都では地蔵菩薩の供養会として8月23・24日に各町内で行う。
・地蔵菩薩は地獄の鬼から子供を守るという信仰により、この日子供のために行事を行う習慣が生まれた。
・地蔵信仰は平安末期から貴族の間に広まり、次第に民間でも石地蔵尊を祀るようになった。
・現在は、各町内ごとに地蔵を祀り、紅提灯・地口行灯を祀り、町内の児童を集めて、数珠廻しを行い、福引や西瓜割りなど催しにも工夫をこらして行っている。
・市内では頃から地蔵盆が盛んになり、現在も市内の多くの町内で子供天国のコミュニティー行事とし行われている。


(9)京都の町並みと海外の町並み


ドイツの町並み
<妻入りの町並み>

ドイツの町並み




京都の町並み(西陣)
<平入りの町並み>

京都の町並み(西陣)


いかがでしたか?西陣・町家のことがよくわかっていただけましたか?
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