京都の中心として賑わった三条通りは、明治に入り、文化や金融の中心となり発展しました。それらの建築物は煉瓦を取り入れた近代建築の様式で建てられ、現在に残ります。
東京駅や大阪市中央公会堂に象徴されるように、東京や大阪にも煉瓦建築はありますが、その多くは、震災や戦災によって姿を消しており、これだけの近代建築が密集して残っているのは、日本でもここ三条通りだけなのです。
1985年(昭和60年)、三条通りは京都市の「歴史的界隈景観地区」に指定されています。
では、ご紹介しましょう。
【三条通り近代建築マップ】

【1】京都府京都文化博物館別館
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●旧日本銀行京都支店 |
建築家 / 辰野金吾、長野宇平治 |
建築年度 / 明治39年(1906) |
三条通りで最も目立っている建物です。辰野金吾の設計で、赤レンガに白い縞模様が特徴な辰野式の建物です。辰野金吾の設計は他に「東京駅」があります。
京都府京都文化博物館別館の★ひみつ★
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建物内部の大理石には、なんと、化石が埋め込まれているものがあるのです! |
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【2】中京郵便局
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建築家 / 吉井茂則、三橋四郎 |
建築年度 / 明治35年(1902) |
当時の郵便局は敷居が高かったのかなと思わせるような壮麗な建物。ルネサンス様式と呼ばれる設計です。この建物は日本初の外壁保存の例となった事で知られていて、中はごく普通の郵便局です。 |
【3】京都ダマシン
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●旧家辺時計店 |
建築家 / 不詳 |
建築年度 / 明治23年(1890) |
同じ煉瓦造りでもちょっとチープな感じがするのは・・・・実は木造なのです。木骨に煉瓦を貼る独特の工法で建築されています。元時計店の京都で最古の民間の赤レンガ建築です。
今は着物生地をリメイクした若者向けのショップになり、道行く人々の足を止める異彩を放っています。
京都ダマシンの★ひみつ★
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昔、この建物は時計店でした。
そして、この建物の上にはこんな時計があったのです。
しかし、木造煉瓦造りという性質から腐食が進んで、20年程前に時計塔が取り壊されました。
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【4】日本生命保険京都三条ビル
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建築家 / 辰野・片岡建築事務所 |
建築年度 /大正3年(1914) |
辰野金吾の設計。辰野金吾といえば、京都府京都文化博物館別館のような赤レンガに白い縞模様が特徴な辰野式の建物なのですが、これは石貼り。概観は煉瓦とちがいとてもクール。街にもなじんでいるようにみえます。
日本生命保険京都三条ビルの★ひみつ★
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実は、石壁の内部は煉瓦で、しかも、煉瓦には鉄筋がはいり補強されています。当時の煉瓦つくりの建築物はただ積み重ねただけであったので、「耐震」を考慮した構造はこの建物が最初なのではないかといわれています。 |
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【5】新風館
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●旧京都中央電話局 |
建築家 / 吉田鉄郎 |
建築年度 / 大正15年(1926) |
三条通りから烏丸通りに入り少し北へ。余計な飾りを省きストイックな印象がします。でも、窓が半円アーチであったり、近くでよく見ると煉瓦の並べ方が窓一列毎に違ったりと細かいところにこだわりがみられます。
2001年、ファッションビル「新風館」として生まれかわり、その内側には、青と黄色の吹き抜けのモダンな回廊空間が広がっています。
今や、若者の人気スポットとなっています。 |
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